ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
「助かる。これ、のんちゃんのカルテだから。引き継ぐことはだいたいまとめてある。なんかあったら聞いてくれ」
安堵したような表情でそう言うと、そっと、俺のそばにカルテを置いていく。
優先生は珍しく昨日の疲れが抜けないような雰囲気で、インスタントコーヒーをマグカップに淹れていた。
今日はコーヒーに入れる角砂糖の個数が半端ではない。何個入れたのか目で追えないほど、角砂糖はダボダボと鈍い音を立てて、ブラックコーヒーに落ちていった。
「ゆ、優先生……! 砂糖、砂糖……!」
小声で優先生に言ってみるが、聞こえないようだったし、聞こえたところで砂糖の数は減らなそうだった。
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