ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
慌しく受け入れ準備をしていると、続報が入った。
「心拍再開、救急車に小児の澤北先生乗ってます」
?!
帰ったんじゃないの?!
思いがけず、救急車がドクターカーになっていたらしい。
救急車が到着し、救急隊が情報を流す。
「患者は13才女児、白河咲、学校近くの道で倒れているところを澤北先生が発見。その後、心停止、呼吸停止。AED使用。10分後に心拍再開。現在、血圧80/40、蘇生バック使用でサチュレーション88%」
制服姿の女の子が処置室へと運び込まれた。
救急車からは優先生と、おそらく一緒に救命作業にあたった男性が降りてきた。
すかさず、優先生が気管挿管を実施する。
その横顔は、深い後悔の色が見えるようだった。
「優先生、この子……」
制服は、昼間健康診断で行った桜堂大学附属の学校のものだった。
俺が息をのむのと同時に、
「……昼間、俺が診た中等部の子だ」
と。優先生は呟いた。
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