ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
ステートを手で温めると、のんちゃんの胸にそっと当てる。のんちゃんは、じーっと、俺の手元を覗いている。
肺の音に異常は無さそうだ。
「……怖い?」
聞いてみたら、のんちゃんは首を振る。
「そっか。よし、いいよ。じゃあお母さん指出して」
胸の音を聴いたあとは、モニターで酸素濃度を測る。
こちらも、問題はなさそうだ。
「ん。大丈夫だね。健康」
手元のカルテにメモをして、落としてる点滴をチラッと見た。1時間後……優先生がちょうどのんちゃんの部屋に来る頃に、点滴が終わるだろう。
情報をカルテに書き込んでいると、ふと、のんちゃんが呟いた。
「……こわくない」
「……え?」
「やさしいからこわくない」
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