ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
ビクッとしたのは、俺とのんちゃん。
モニターに出ていたのんちゃんの心拍数が、あからさまに上がる。
声で殴られるとは、こういうことだと思った。
叶恵さんと蒼音くんは、『やれやれ……』と言いたげな顔で処置の片付けをして去って行った。
優先生は時代が時代だったら、ここにゲンコツの一発でも喰らわせそうな形相だった。
後に聞いたが、優先生の本気の声量は、入院中に子どもが命に関わるいたずらをしたときに、病棟中に響くらしい。
そこには、優先生の気持ちの全部が詰まっていた。
どれだけ心配したか、そのいたずらで、どれだけの人をヒヤヒヤさせたか。
……そして、最悪、死んでたかもしれないという、取り返しのつかない事態に、毅然とした態度を示していた。
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