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ほしとたいようの診察室

第6章 回想、はじめまして



ナースコールを押すより早く、叶恵さんと蒼音くんが病室にすっ飛んできた。



「……?! 大丈夫ですか?!」

「ごめん、点滴抜けた。入れ直しの準備と」



腕の中、のんちゃんの呼吸がエグエグと変な音に変わる。



最初は、過呼吸かと思った。




「のんちゃん、落ち着いて。大丈夫だから、ゆっくり息しようか」



のんちゃんをベッドに寝せると、横向きにしてゆっくり息をするように声をかける。






が。






「--ッン、--ウッ、ハァッ、」



一向に息が整わない。


それどころか。






「のんちゃん? 聞こえる。苦しい? 陽太先生の手、ギュッてしてみて」




その間も、だんだんとのんちゃんの唇の色が消えて、手足が冷たくなっていく。


チアノーゼ。


「モニター準備、吸入も、あと酸素用意して! 優先生に連絡!」


一気に、のんちゃんの呼吸と酸素状態が悪くなった。


「のんちゃん、胸の音聴くよ」



なおも苦しい息を続けながら、微かに首を振るけれど、のんちゃんに拒否権はない。





「ごめんね」





思わしくない胸の音、もともとしていた点滴に加えて、喘息の薬も追加でオーダーする。


テキパキとした叶恵さんと蒼音くんの動きで全ての処置が終わる。








すっかりのんちゃんの容体が安定した頃、優先生が病室に到着した。





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