
ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
いましかない。
そう思ってベッドサイドの椅子に腰をかけ、ゆっくりと語りかけた。
「のんちゃん、つらいな。痛いこといっぱいになって、ごめんな」
のんちゃんからしたら、突然の敵からの謝罪に驚いているようだった。
「先生の名前は、ゆうって言うんだ。のんちゃんに毎日痛いことして、ずっとずっと、悪かったと思ってる」
のんちゃんは不思議なものをみるように、俺をじっと見つめた。
どうやら、話を聞いてくれる様子だった。
「のんちゃん、お家に帰ったら、何したい?」
そう尋ねてみると、
「ぷいん」
と、のんちゃんは即答する。
「ぷいん? 」
聞き返すと、まだ舌ったらずののんちゃんが、目を輝かせてつぶやいた。
「ぷるぷゆの、あまいの」
「…… あぁ、プリンか」
正解を言い当てると、のんちゃんがわずかに頷く。
「おかーさんと……たべる、ぷいん」
この時、初めてのんちゃんの好物を知った。
