
ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
俺が来ると必ず捕まえられて、痛いことをされるから、のんちゃんは最初、俺の名前すら覚えず、
「いや!! きらい!! いたいことするひと、あっちいって!!!」
とミトンのついた手を振り回すばかりだった。
俺がのんちゃんの病室へ、食事中に訪れようもんなら、茶碗やスプーンを投げられる始末。
完全に敵だと思われていた。
笑顔なんて見たこともない。
信頼関係を築こうにも近づけない。
ジタバタするのんちゃんを押さえつけながら、吸引や吸入、点滴を否応なくこなさなくてはいけないが、なかなか治療がうまくいかない。
そんなことだから、のんちゃんの入院は、1日、また1日と延びていった。
どうしたものかと頭を抱えて、10日が経った。
暴れる力も、回診の度、日に日に強くなっていく。
どこかで、ちゃんと話をしないと。
