
ほしとたいようの診察室
第5章 緊急入院と夏
……
「ゲホッ……ケホケホ……むり」
「はいはい、無理じゃありません。口離さない、話す暇あったらちゃんと吸う」
……さっき優しいとか思ったの、前言撤回……‼︎
優先生に処置室に連れて行かれて、おとなしく治療されることになったのだが……
思ったよりしんどくて、もう最初の数秒でギブアップ宣言を出している。
それなのに、頭とアダプターを優先生に抑えられて、薬の煙から逃れられない。
「苦しいな。でもこれはやらなきゃいけない」
苦しくて涙がこぼれると、息をするのが難しくなる。
「ゲホッゲホ、ウッ、ゲホッゲホ……」
「口から吸って、鼻からだす。ほら、ちゃんと吸って」
「ケホケホ……ゲホッ……くるじい」
わたしの体が、煙を拒んでいる。
よくなるための方法なのに、なんで……?
もうやめたい……
「苦しいのはわかったから、喋らない。俺の声聞いてタイミング合わせて」
「ゴホ、ゲッホ、ゴホゴホ……ハァ」
「はい、吸って〜」
「スーーヴッ」
「鼻から吐く〜」
「ゲホッゲホ」
「そう、上手だ。もう一回吸って〜」
……
