
ほしとたいようの診察室
第5章 プリンを作ろう
病室に向かうと、陽太先生と看護師さんが手当にあたっていた。
「のんちゃん、聞こえる? 吹田です」
「ウゥッ……っはぁ、ハァ、せんせ……」
意識はある。肩で息をして、顔色はすこぶる悪い。唇にチアノーゼが出て、触れた手足は冷たい。
看護師さんから血圧値を聞く。低血圧、おまけに酸素濃度も低め。
「胸の音聴くね」
病衣を少し緩めて、聴診器を滑り込ませる。
酸素濃度低めの割には落ち着いているが、雑音が混じり、喘息の方も出始めてる。
「ごめん、苦しかったね。これはいま打ってるホルモン剤の副作用だから、薬に体が慣れたら少し楽になるよ」
ホルモン剤を中止することはできない。これより弱い薬は用意できないくらい、大海先生がスタートとして設定した数値は慎重で、少ない。
……それにしてもかわいそうなので、制吐剤をオーダーする。
併用すれば、明日からぎりぎり食事がとれるかな、という算段だが果たして……。
