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田中理沙が、6尺道路を歩いているうちは、黒田明に発見される可能性は低い。スマートフォンで、周辺地図を調べても赤道は、道路として載っていないからである。でも高滝神社前の砂利道は9尺道路だから、あいつの車が後ろから、追いかけて、来るかもしれないわ。無難に6尺道路を歩いて行こう、もっとあいつから離れてから、9尺道路に出ればいい。9尺道路とは、2、7メートル幅の幅員で、現代では狭いと思うだろうが、戦前の明治時代なら、立派な主要道路だったことだろう。その道路を歩いて行けば、道端のある県道に自然とたどり着けると考えていた。6尺道路は、緩やかな下り坂で、下に下にと、田中理沙を案内しているかの、ようだった。しかし道がなかった、かんじんの道、事態が途中で、途切れていたのだ。田中理沙は目の前の光景を見て、愕然とした。コンクリートの堤防が、まさか高滝ダムが、こんなに近くにあるとは。思わなかったのだ。
大きなダムね、田中理沙は高滝ダムの堤防から顔を出して、外灯が見えるかもしれないと、期待したが、人工的な明かりは見えなかった。