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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は



 女が複数人揃うと、ファッション、メイク、恋愛の話題が盛り上がるのは、定石だ。

 ルシナメローゼも例外ではない。

 霊能力者である椿紗は、ゆいか達とは歳が離れているのもあって、当初は親しみにくかった。謎めいた、一つの事業をこなしてもいる大人。だがなつると同様、話してみれば、彼女もありきたりな人間だった。ピンクちゃんと呼ばれるようになって、なずなが彼女に気を許したのも、大きかった。


「ところで、……」


 なつるの指が髪をもてあそぶのには構わないで、なずなが椿紗に目を向けた。


「チラッと聞こえたんですけど、人手不足なんですか」

「ああ、さっきの聞こえたのね」


 朱色の紅を上品に刷いた頬に映える黒い目が、宙を泳いだ。

 その椿紗の代わりと言わんばかりに、なつるが首を縦に振った。


「久保さんや大鶴さん達は、期末の提出物の準備。夏季休暇に入るまでは来られないって。本島さんは会社のプレゼンテーションが近くて、佐伯くんは妹さんが集中治療室。他の四人は、友達や恋人の法事」

「えっ?!」


 一瞬遅れて、ゆいかも声を上げかけた。

 なずなが青ざめたのも仕方ない。ゆいかも頭で処理出来なかった。

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