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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は


 ゆいかの周りだけを見ても、一つや二つ、恋愛における問題を抱えている女はいるのに、無性になずなが放っておけない。いっそすぐるから奪ってしまえば、彼の与えられなかったものを彼女に与えて、彼の取り上げたものは補える。そんな空想まで広がる自分が、不可解になる。


「どうですか、なつるさん」


 椿紗との話を終えていたなつるは、さっきとは一変して朗らかな笑顔をゆいか達に向けてきた。


「なずなちゃ──…」

「きゃああああ……なずなちゃーんんん!!」

「わゃっ?!」


 黄色い悲鳴が、ゆいかの言葉を打ち切った。愛らしい小動物にでも出会ったような顔のなつるが、なずなに飛びついていた。


「なずなちゃんはいつでも可愛いわ、溶けてたって可愛いわ、でもこんな……お人形さんみたい!ううん、妖精、いいえ、天使!ねっ?!東雲さんも、思うでしょ?」


「あら可愛い。ゆいかちゃん、本当メイク上手ねー。私にもピンクちゃんみたいなお化粧やってもらえる?」

「おっ、東雲さん、もしかしてロリィタに興味が?」

「スカッとしそう。変身願望みたいな?」

「そっかー、東雲さんは変身するお仕事しないから、そういう目線なんですね」

「わわっ、確かに。なつるさんやなずなさんや私だと、いつも変身してるから、そういう願望はありません!」

「えっ、じゃあピンクちゃんは、他の目的でロリィタを?」

「うーん……目的、特にないんですよぉ。落ち着くだけです。あ、でも、ゆいかさんに教えてもらったお店のお洋服も好きです。あれこそ新鮮味あって、私はちょっと変身気分」

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