
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
「なずなちゃん、実家に帰ったら学校かなり遠くなるって。八神くんと別れるつもりないし、それは、あたしが口出し出来る立場じゃないけど、その内ニュース沙汰になるんじゃないかと」
「ゆいかが無事で良かったよ。あの人、そういう性癖なの?だったら加減は出来るだろうけど、そうじゃなかったらゆいか、現場見たんだよね?しばらく運転手寄越そうか?」
「大丈夫。逆恨みされたとして、口止めの殺し屋雇えるほど度胸ないよ。あの男」
「問題は、なずなちゃんか」
形状記憶の螺旋を描くゆいかの髪が、しっとりとした質感を残して乾いていった。
明珠が髪を乾かす間、なつるにもなずなが風邪でななったことを報せておく。案の定、すぐに既読を付けた彼女から、知っていたという返信が付いた。
「明珠は、もしあたしの行動が掴めなくなったら、どう思う?」
「例えば?」
「行き先言わずに、一週間町を出たり」
「お土産買ってきてくれたら、寂しいのは許す」
「えーっ、もうちょっと不安がってよ」
「足りなかった?でもよく言うじゃない、あんまりベタベタしてる恋人同士は、別れるのも早いって」
「そうだけどー。あたしだったら電話するよ?連絡つかなかったら捜索願い出すよ?」
