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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は




「さっきからうるさっ。風?幽霊いるんじゃ──…」

「んなわけねーじゃん。おい、お前も脱げ」

「あの……アアッ」


 なけなしの金銭を巻き上げられた少女が、新たな恐怖に青ざめた。

 ウルフカットの髪の少年と胸を舐め合っていた半裸の少女が面倒臭そうに腰を上げて、まだ正気であるがゆえに震えている少女の着ている制服のリボンタイを外しにかかった。

 道徳など放棄した中学生らは、他校の少女を今に輪姦する剣幕で、脱げ、脱げ、と囃し立てている。半裸の少女が彼女のシャツのボタンを外すと、無垢な果実がブラジャーから覗いていた。


 少女を助け出すのが先か。

 だがいきなり変身を解けば、ゆいかは、本当に彼らに怪奇的な記憶を刻みつけることになる。


「っ……」


 屋外へ駆け出す。ゆいかは心の中で謝罪して、低木の枝を数本折ると、それら全てに魔力を染み渡らせた。


「なつるさん、しっかりして!」


 ビルへ戻るまでの短距離が、異様に長く感じられた。呂律の回らないなつるの声を辛うじて拾うと、大丈夫、とゆいかに訴えていた。


「──……」


 先週、なつるが苦渋の決断をして引き返したのは、今回の怨嗟が増殖型で、精神を蝕むタイプだからだ。

 なずなの防御の力があれば、二人でも封じられただろう。しかし彼女が長期休暇を出したばかりで、策がなかった。ただ、ゆづるを伴えば最悪の事態は回避出来る。なつるの予知が、彼との共闘を促した。

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