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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は



「わ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"ぁ"……っ!!クソっ、あれ?痛まねぇ?!でもキモッ」


ザシュッ……


 ゆづるの後頭部で大口を開けた黒い塊に、ゆいかは硬化させた蔓を振り下ろした。

 外は雑草が育っていた。予め魔力を込めておいたそれが、サーモンピンクのタイトなミニワンピース姿の少年の頭にかぶりつこうとしていた首を斬り落とした。


チャリンっ。シュルッ。


 同時に、ゆいかの後方で鎖が鳴った。何かを締め上げる音が続いて、真横を突風が吹き抜けていく。


「ひゃっ!」

「アーッ、うぜ!なんだよ、この数!」


 ゆづるが銃口を向けた先に、今しがたゆいかの足元で溶けた塊と同じ類のものが三体、揺れていた。

 頭を失くした塊は、溶けてもスピリットジュエリーもどきが現れない。つまり怨嗟は、まだ封じられるだけ弱体化していないのだ。


「くぅ……ふっ!」


 銃声が鼓膜を打つ中、ゆいかはなつるが動作を止めた塊に、野芝の針を連射した。青々とした斜め振りの雨が、今にも鎖の緊縛を抜け出ようとしている塊の体内に吸われていく。


「えっ?!」

「葉桐さん、小さいの無理です!こっちも弾が飲まれます!」

「じゃあっ、ヒャぁっ!!」

「なつるさん!」


 黒い塊がなつるを羽交締めにした。肉に飢えた中学生らの傍らで、食に飢えた熊のような塊が、なつるの腕にかぶりつく。

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