
副業は魔法少女ッ!
第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世
売り子の手放しの称賛を、なずなは本気と取らないでいた。
なずなの見た目は、大抵、どこに行ってもまず相手が話題にしたがる。昨今は増えたとは言えまだ珍しい髪色に、甘ロリィタ。
相手がなずなに寄越せる世辞など、それらくらいだ。
定期試験や受験は中学にいた頃から交際しているすぐるに面倒をかけてばかりいたし、大学まで進学出来たのも、彼の個人授業が功を奏したからだ。その大学も実家とは離れており、彼の同伴がなければ、両親はとてもこんな頼りない娘を他県に住まわせられなかったと言っていた。
「こんなにピンクが似合うのに、アクセサリーは青なんだ。プレゼントですか」
「あっ、まぁ、大事な友達から……」
そして初対面の相手は、大抵、なずながほぼ毎日着用しているリングに目を留める。
玩具ほどの大粒の青は、ブルートパーズにも似通いながら、おそらく違う。送り主は思い出せない。ただ、すぐるからのものでもないのに、彼もこれはなずなが大切にしていることを許容している。
