
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
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家にこもって一週間が経った。
その間、なずなはすぐるを不安がらせることもなければ、少なくとも門限で機嫌を損ねることもなかった。
彼の方も、このところ昔のように冗談を言ってなずなを笑わせようとすることもあって、同じ屋根の下に暮らしてからほとんどしなくなったデートに、今日はいきなりなずなを誘った。
「久し振りに外出て、歩き方忘れてないか」
「忘れようがないよ。家でだって、料理や掃除はしてたでしょ」
「風呂にも入って、皿洗いよりオレを上手に洗ってくれたくらいだしね。このあとは、飯、どうする?」
「外でそういう話は、恥ずかしいよ。……ご飯かぁ、何が食べたい?」
閉館のアナウンスに送り出されながら、なずな達は二人組や家族連れが多くを占める帰路の群れに混じっていた。
午前中にマンションを出て、昼間は本屋へすぐるの参考書を探しに行って、彼がアルバイトの先輩に勧められたという映画を観た。そして日が暮れかけた頃、彼が提案したのは水族館だ。
今日の外出はなずなの知らないところで彼が計画していたものだったようで、映画に続いて彼が準備していたチケットを使って入場すると、水族館はちょうどライトアップイベントを開催していた。一面に広がる青い世界と、想像以上に幻想的な演出が、なずな達をもてなした。
