
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
「なずなちゃんって、守ってあげたくなるタイプじゃない。なのに魔法少女の時は、パワーがあって。気が弱そうだけど、人懐こくて。あんな子、あの男にはもったいないわ」
「それは……ですね」
「私が救い出してあげたい。一人暮らしの部屋はもう一人増えたって十分広いし、外出自由で養うわ。お洋服だって一緒に選んであげるし、毎朝毎晩、可愛いって言い続ける」
そうした話をなつるが口にするようになったのは、ゆいか達が魔法少女になることを決めて、まもなくの頃だ。
見かけによらず砕けた気性、初めは新人の緊張をほぐそうという配慮だと解釈して、ゆいかは彼女の軽口に笑っていた。彼女がなずなを気にかけるのと同じくらい、ゆいかにも歯の浮く台詞が向けられていたからだ。
だが、このところなつるは、ことあるごとになずなを欲しがる。ゆいかとてなずなとの付き合いは浅いのに、契約した日が同じだからか、何かと相談相手になるようだ。
「なずなちゃんの欠点は、相手を見る目がないこと。ゆいかちゃんは、ちゃんとした人とお付き合いしているのにね」
ゆいかは頷く。
なずなの目利きの良し悪しはともかく、本当になつるが奪ってしまってくれないかと思う。
