
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
* * * * * *
なつるの出勤時間に合わせて、ゆいかは椿紗の事務所を訪ねた。
ゆいかは、定期的になつるの固有魔法の世話になっている。
魔法少女の報酬は案件ごとに差があって、継続的に従事しても、底の知れた程度にしか寿命が蓄積していない場合がある。そのため不吉な相が出ていないかを、彼女に確認を頼んでいた。
電話対応や事務作業を進めている椿紗の傍らで、ゆいかは今日もなつるから得た結果に安堵すると、依頼のコピーを広げた。
昨日から、なずなは風邪を患っている。今月末まで出勤が困難になるという彼女の代わりに、なつると業務をこなすことになっている。
「なずなちゃん、大丈夫かな。八神すぐるに看病出来るとは思わないのだけど」
ルシナメローゼが関わっている可能性のある案件を優先順に分けながら、つとなつるが口を開いた。
それには同感だ。LINEのトークルームで、なずなは大したことないと言っていた。声が出にくく、人と話す機会を避けたいだけだと。それにしても学校まで休んで、食事もしっかり取れているのかと訊けば、事実確認し難い返信が付く。
「ゆいかちゃん。なずなちゃんは、どうしたら八神すぐると別れると思う?」
「え……」
