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副業は魔法少女ッ!

第2章 魔法少女の力



 ゆいかがなずなと知り合って、日は浅い。彼女が興味を惹かれるものや、彼女の笑顔が輝くもの、味の好みや仕草や口癖──…それらが見えてくるまで時間はいらなかったのに、彼女の肝心な部分だけ、ゆいかには全く見えてこない。
 ぼやけているのは、ゆいか自身の心情もである。何故、彼女を放っておけないのか。


「じゃあ、薄めるだけ」

「…………」


 完治させないのを条件に、ようやくゆいかは了承を得た。こっそり痛みを引きずっていそうな小さな傷も塞いでおくと、小路の損傷部にも魔法を当てた。





 魔法少女の業務は、客からの依頼に応える場合と、通りすがりに見つけた事柄の場合の、二通りある。都合が合えば、ゆいかはなずなと共闘していることが通例化している。一方で、後者の場合は急に相手を呼び出せるとは限らない。そうした時は、単独での行動になる。

 なずながいなければ辺り一帯が壊滅寸前、それでも何とか器物破損で通報されない程度に後始末を済ませると、その日もゆいかは、例のスピリットジュエリーもどきを届けるために事務所へ向かった。業務中、なずなが防御の魔法を出すのにも消耗していた翌週のことだ。

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