
副業は魔法少女ッ!
第2章 魔法少女の力
晴れ渡った気分だ。何一つ心配事などなく、時間は果てなく続いている。明日も明後日もその先も、数年先の未来まで、明珠と語り合える。
狂おしいほど願って手に入れた。生きられることがこうも幸福だと、一度はあの状況に陥ったゆいかだから、身に染みる。
魔法少女になって二週間、ゆいかに現れていた死相は消えた。それはなつるが保証した。
パソコンのメールをチェックしながら、つと、ゆいかは定位置のデスクに置いたままにしていたペンケースに凭れたウサギのバッグチャームを、指になぞる。
魔法少女の副業は、やはりそれだけのものを得られる分、過酷だ。
ゆいか自身の回復魔法となずなのディフェンス、それがなければ大怪我を負っていただろう危機にも既に何度か瀕したし、ミスがあれば救援を呼べる基本ルールがあるとは言え、その時間帯に出勤出来る魔法少女がいなければ、クライアントからのクレームや、最悪の場合は被害拡大の恐れもある。
それでも、間違いなく奇跡だ。
奇跡を得られた魔法少女という存在とゆいかを繋ぐ媒体が、この花柄のウサギだ。なずなが例のリングを選んだ隣で、ゆいかは明珠からの初めてのバレンタインチョコに同梱されていたそれを、椿紗に委ねた。
