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副業は魔法少女ッ!

第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世


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 四月中旬の日曜日、なずなは市立の大型施設を訪っていた。

 今日は、魔法少女が題材になった版権物の創作イベントが催されていた。特定のタイトルには絞られず、魔法少女が出るものであれば元ネタは不問という、二次創作に限らずオリジナルで参加している絵師やコスプレイヤーも少なくない、アニメや漫画に明るくないなずなにでも入りやすい。


「すごい。サークルで参加している人達、漫画家さんじゃないのに漫画描いたりしているなんて、すごいっ」

「なずな、さっきから語彙力崩壊してるよ。まぁ分かるけど。ちなみにレイヤーさんも、仕立て屋さんじゃないのに衣装はお手製だったりするよ」

「うそっ!やばっ!」

「友穂ー。なずなの邪魔したらダメでしょ。昔見て好きになった魔法少女がどの作品のどの子だったか思い出せないなずなのために、今日は連れてきたんだから」

「あっ、いいよ、美波ちゃん。それに魔法少女って、こんなにたくさんあるんだね。私が憧れたのが主人公だったかも分からないし、小学生くらいだったから、今でも知っている人がいるかも分からないし、夢だったかも知れないし……」


 そう思うと、なずなは途端に片身狭い思いがした。

 友穂と美波にしても、普段からこうしたものに親しんでいるわけではない。どちらかと言えば映画やアウトドアに休日を費やすタイプで、今日のイベントもなずなが気に入りそうだと言って、誘い出してくれただけだ。

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