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副業は魔法少女ッ!

第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世


 つまり厭世的な感傷に耽らなくても、ゆいかは明確な美を見出している。その価値観は、ともすれば目前の女も、先ほどの口振りからして近いかも知れない。

 ただし、それだけで親しくなろうという気は起きない。胸にこびりつく暗澹を言い当てたのは目前の占い師だが、一昨日、ゆいかは社会的信頼も見識もある人物にも、同じことを言い渡された。


 人間には、やり直しの利かないことが多すぎる。なかんずく人事を尽くしてもどうにもならないことに限って、神は素知らぬ顔をする。


「……放っておいて、下さい……」


 ゆいかは彼女に背を向けた。


「待って!話を聞いて、私には貴女を助けられる!」


 女の声を振りきりながら、ゆいかは心で舌打ちした。


 嘘つき。商売はしないと言ったのに、やはり甘い言葉をかけて、効果がなければ個人差だと言って言い逃れる──…詐欺の勧誘だったじゃないか。

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