
副業は魔法少女ッ!
第4章 想いの迷い子
「◯◯学部ですか。あすこの◯◯年期生の入試は、えぐい倍率だったと聞いています。八神くんは秀才ですね」
「学ぶことが好きなだけです。それだけならどの学校でも、という意見もあるでしょうが、卒業生の先輩がたの話に感銘を受けて、足掻いてしまいました。何はともあれ、両親に迷惑をかける羽目にならなくてホッとしました」
「ははっ、私が八神くんの親御さんなら、こんな出来のいい息子だ……一浪くらい許せますよ」
まるで別人の顔を張りつけているすぐるを取り囲んでいた数人が、ゆいかに声を潜めてきた。
「失礼ですが、彼女は?」
「え、っと……」
「彼、弟さんではありませんよね?」
「飯田」
別の女が、前者の男を嗜めた。
「葉桐さんは、まだお若いわ。一色さんも女性として魅力はありますけれど、まだどうなるか分からない、今から将来が楽しみな彼氏に目移りされるの、よく分かります」
「えっ、彼女とは同居人の繋がりで──…」
「そうなんです。彼、面白いので」
すぐるの否定を遮って、ゆいかは彼に腕を絡めた。だらしのない話題に目のない連中は、輪をかけて上機嫌になり、大学四回生の新参者を各々の自社の見学に誘い出す始末だ。
