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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は



「それで、今のは惚気ですか」

「佐伯くんっ。あ、あの、ゆいかさん、勝手に話してごめんね。でも一色さん、本当につらそうだったから……。私が一色さんの立場だったら、何も知らないでお別れなんて、納得出来ないと思ったの。ゆいかさんだって、一色さんと一緒にいたくてこの副業を始めたんでしょ。お節介は、本当に、悪いと思ってるけど……」


 今やゆづる以上に青白い顔で俯くなずなは、謝罪が上手い。もとより彼女に否はないが、こんな顔をされては何も言えない。


「なずなちゃんとなつるさんには、強引に聞き出したから……って、明珠も言ってたし。なずなちゃんは気にしないで」

「だいたい、葉桐さんさぁ──…」


 ゆづるが何か言いかけたのを遮って、ゆいかは続ける。


「なっちゃったものは、仕方ない。いつでも契約解消出来るし、明珠のことだし、仕事に支障が出るほどのようなこともしないと思う。あとはあたしが魔法少女を辞めればいいだけ」


「えっ、辞めるの?」

「明珠から取っちゃった分、なつるさんに返し方訊いても教えてくれないし、明珠があたしを好きでいてくれる間は、むしろ今の状態なら、放っておけば勝手に戻っていくだろうから」

「おい、いい加減にしろよ」


 それはゆづるにしては珍しい、力任せの語気だった。

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