
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
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結局、ゆいかは明珠と、直営店のVIPルームに入った。
とりわけ居心地を重視した個室は他の施術室との距離も適度にあって、人目を気にせず、ゆいかは彼女の話を聞けた。
もっとも、落ち着けたのは環境面だけだ。ここ数日間に亘る彼女の話は、十分、ゆいかに血の気を引かせた。ともすれば、それまでのツケが利子付きで回ってきたのだとさえ思う。
「何で……?!明珠、そんな副業するメリットないよね?なつるさん達から止められなかったの?」
「メリットなら、さっき話した通り。ゆいかが別れ話をしてきた理由、なずなちゃんに聞いたから。私が魔法少女になれば、なつるさんに透視をお願いして、寿命を平均することだって」
「そうだけど……。確かにお互い魔法少女なら、同じくらい生きられるように調節出来るかも知れないけど、人並みに生きられたはずの明珠とあたしは、元々持ってた時間が違う」
「だったら尚更。知らなかったとは言え、ゆいかの判断は正しかった。生き延びてくれて有り難う」
「──……」
つまり明珠が椿紗と雇用契約を結んだ目的は、ゆいかと寿命を合わせるところにあった。
ゆいかが対価を拒み続ければ、僅かな時間は時期に尽きる。一方で、仮にその出どころを知らなかったとして対価を得続けていたとすれば、おそらくゆづるとひよりのようになっていた。
回避するには、互いに魔法少女になるしかない。
