
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
「出てきてくれて良かった。東雲さんのところでも見かけなくて、会社にもお邪魔したけれど、有給中だと聞いたので……」
「なずなちゃんは、魔法少女の対価のこと、どう思ってる?あんな話を聞いても続ける?」
すぐると別れるなずなは想像し難い。あの男に限っては、いっそのこと最後の一滴まで生命を搾り取ってしまった方が有益ではという私見は抑えて、ゆいかは彼女の気持ちを探る。
少なくともゆいかが明珠のことで悩み耽った一ヶ月、彼女はアルバイトを続けていた。今も青い石からは、彼女の魔力が溢れている。
結果から言えば、なずなは、ゆいかや他の魔法少女らのような苦悶に陥っていなかった。彼女に半ば引きずられるようにして、ゆいかがおよそ十日振りにルシナメローゼの事務所へ行くと、なつるにその旨を聞かされた。
「なずなちゃんにどうしてもって頼まれて、DV男を透視した。今のところ、魔法の影響で寿命を削っていることはないみたい」
「それじゃあ、ご家族は?なずなちゃんの愛情が、八神よりご家族に向いているとしたら……」
「それはない。ゆいかちゃん、なずなちゃんの親がどんな風か知らない?娘が暴力に遭っていても、彼を正しいと言い切るような両親よ」
