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副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は


 ともかくエリート一家に違いないのは、どちらかと言えば豪邸と呼べる、この実家を見れば瞭然だ。


 家政婦達が客室を整えてくれている間、ゆいかは明珠と夕餉の支度を始めた。二人して恋人の手料理というものに憧れながら、二人して未経験だったために、この機会を逃さなかった。

 シチューにサラダ、チキンソテー。

 スーパーには完成した手軽なものが売られていたが、一秒でも長くともに過ごしていたい恋人と、近道などしたくない。

 ただし、実家暮らしと外食に頼りきりのゆいかには、ネット検索で出したレシピの解読だけでも難関だった。明珠の方もほぼ同じで、鈴谷達が手隙になっても下拵えさえ進まないでいると、見かねた彼女らが申し出てきて、手を借りることにした。
 鈴谷の方は、前職からここに移ってくるまで、最低限の家事以外は端から諦めていたという。鈴谷の方は、一人息子がゆいかと同世代らしい。彼の健康のためになるべく料理をしていたため、今夜の献立くらいであれば、好みさえ聞いておけば目を瞑っていてもこしらえられるほどだという。

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