
副業は魔法少女ッ!
第3章 ガラスの靴の正体は
「あ……ああ……」
「なずなちゃん」
「ぅっ……」
なずなの腕が、ゆいかの肩に絡みついた。その震えから、三ヶ月前、二度目に会った時のなずなの様子を思い出す。
今またあの時と同じだ。
連休を取っているはずの本島と、先日友人を亡くした寝屋川。彼女らの言い知れない激昂の念が、なずなに波紋を及ぼしている。
「見てくるから、なずなちゃんはここにいて」
「やだ」
「じゃあ、今日は帰ろ。石は代わりに──…」
「いや……ゆいかさん……ゃ、あぁ……」
ゆいかの袖に皺を刻んで、激しくかぶりを振るなずなは、冷たくも熱くも感じられる。
結局、彼女の心に回復魔法を施して、ゆいかは事務所の扉を開けた。中にいた二人の方も、疲弊で落ち着きを見せていた。
椿紗に鋭い目つきを向ける、魔法少女達。なつるの頼みで、ゆいかは彼女らにも回復魔法を施した。
「こんなイカサマ、私達には通用しない。余計なことしてみなさい、アンタだって共犯よ!」
「良いわよね、葉桐さんは選択肢なかったんだから。罪悪感もないでしょうよ。自分が助かるなんて聞けば、手段を選んでいられなかったものね?!」
「待って、何の話……」
「ゆいかさんと私、来たばかりなんです。何でお二人はそんなに怒ってるんですか」
