
副業は魔法少女ッ!
第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世
じきに宝石箱をひっくり返したような夜景に着替えるのだろう、街を見下ろす。
カーテンを下ろしてしまいたい。茜色は、昨日の女を思い出す。
まるで死神だった。不吉な女は不吉な予言を口にして、ゆいかに何か言いかけていた。いっそのこと本物の詐欺師であれば良かったと思う。
「明珠こそ、ホテルの設立が決まってから、あまり寝てるイメージないよ」
「ちゃんと寝てるよ。ゆいかとギリギリまで話していたくて、つい夜更かししてしまうだけ。それに、サロンを備えたリゾート施設は夢だった。たとえ寝なくなって、今ならテンション上がっちゃう」
「うん。知ってる。店舗拡大だってすごいのに、明珠の目標が実現になるの、あたしも楽しみ」
明珠には、会社を立ち上げる以前から目標があった。
ビューティーサロンと併合したリゾートホテルの開業だ。
最新式のジムやミストサウナを始め、大浴場には露天風呂の他に肌に効くハーブや薬草を使った浴槽を採用して、マッサージや朝のヘアメイクのサービス、オーガニックレストランなどが入ったりする。それは、美にストイックな客達にむけたものであると同時に、日常を忘れて羽根を休める場所にもなると、彼女は語った。
