テキストサイズ

この夏、君に溺れた

第6章 夢の終わり

「先生、無茶だよ。」

「そんな事ない。ポイントしぼれば、なんとかなる。」

そんな事言われたら、本当に信じてしまうじゃないか。

「待って。メモ取るから。」

私は慌てノートを取り戻した。


「いいか。ここはまず出る。」

私は教科書にマーカーで、丸をつけた。

「えっと、これは……」

「こう言う事だよ。」

先生が近くにあったペンで、サラッとノートに書く。

その字が、思ったよりも大人っぽくて、ドキッとする。

「あっ、うん。」

「ここを、こうすればいいから。」

耳元に響く声。


どうしよう。

抱かれてる時を思い出してしまう。


「って、聞いてる?」

「……っ」

先生の顔を見れなくて、真逆を向いてしまう。


「そう言えば、もう夏休みも終わるんだな。」

「うん。」

先生の手が、私の腕を掴む。

「……芽依は、家に戻るのか?」


心臓が大きく、波打つ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ