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この夏、君に溺れた

第6章 夢の終わり

「先生……」

「ん?」

小さな声の呼び掛けにも答えてくれる。

私の事、気にしてくれてるんだなって、すごく思うん。


「最近、抱いてくれないね。」

遠くでゲホッと、むせる音が聞こえる。

「何を言い出すかと思ったら。」


わかってる。

先生の邪魔している。


「さっきも言っただろうに。毎日するってもんじゃないよ。」

「うん……」

「そんな事よりも、早く寝なさい。」

先生にそう言われて、私は寝返りを打った。


隣の部屋からカリカリ、音がする。

先生が物語を書いている音だ。

その音は止まる事なく、軽快に走り続けている。


ねえ、先生。

私に飽きちゃったの?

聞きたくても、聞けない。

先生は、物語を書く事に集中しているから。


コンテストの締切の終末。

それは、私の夏休みが終わる日でもあった。

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