テキストサイズ

え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

光邦が水面を見ると、なにやら大きな黒い影が目に入った。

「なにかいるわよ」

オイドは、パドルを槍のようにもち「確認できます。この船がひっくり返されないかが心配ですが、私も選ばれた勇者の端くれ。ただでは死にませぬ」と構えて見せた。

光邦は剣を握る。

「痛っ!」

握ったのは、刃の方だったため、よくわからない負傷を受けた。

「光邦、大丈夫ですか?」

チョットが心配そうに聞くと、

「こんなの、すぐに血は止まるわよ。でもいい、チョットは私の前に移動しなさい」

チョットは立ち上がり、慎重に光邦の肩に手を置きながら移動し、光邦と位置をかえた。

「どうなるかわからないけど、あなたが落ちて食べられたら私、地球に帰れないからさ」

「光邦が危険ですよ」

「あんたより戦闘力あるわよ。あの大きなカマキリと戦ってわかったわよ。私……強いのよきっと」

そういって光邦は、体の向きをかえた。

「私が後ろを見てるから、オイドさんは、前をお願い」

「なに? あんた、戦うつもりか?」

「こんなわけのわからない星で、死ぬわけにはいかないの。私は地球に帰らなきゃいけないんだから」

「あんた、面白い人だな」

「笑わしてないわよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ