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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

川の幅が広くなり、また流れが緩やかになった。

ここまで急流や岩や流木等の障害物も無く、順調にイカダは進んでいた。

確かにこんな川だったら、薪を詰めた袋で浮いてるだけで、なんの問題もなく流れ着いていたのかもしれない。

だが、オイドは言う。

「この辺りからは少し試練なんですよ」

「なに、渦かなんかがあるわけ?」

「そんな、風呂の栓を抜いたあとに出るような渦は発生してません」

「その例えは、宇宙共通なの?」

「その問題は置いておこう。ただ、この棒(パドル)を動かさないで、しばらくは流れに身を任せた方がいい」

オイドがそう言うと、チョットが、薄いピンクの汗を垂らしながら、

「まさか、ハジャモのことじゃ……」と生唾を飲みながら言った。

オイドは、ただ一言、「うむ、気をつけるがよい」とだけ言った。

「ハジャモ? なによそれ」

光邦の問いに、チョットが答える。

「この川に棲息する巨大な主です」

「巨大なって、どんなやつよ」

「簡単に言うと、20メートルほどのマムガラブラみたいなやつです」

「わからないわよ」

光邦が想像したのは、鰻や蛇が巨大化した、龍のようなものだった。

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