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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

まだ、空は明るい。

オイドが、今ならまだ出航出来ると判断し、小屋から持ち運んだ缶詰めをお昼の食事とし、準備を進めた。

「ガシまで行くのって大変なのね」

「普通だ」

「これを普通と感じられる生活してないのよ」

作ったイカダを三人で押し、川に浮かべる。先頭にオイド、真ん中に光邦、後ろにチョットが座る。それぞれ、一本ずつ手作りパドルを持ち、使い方を光邦が説明する。

「いい、見てなさいよ。こうやって、右、左と左右に動かして漕いでいくの。1、2、1、2の掛け声で漕いでいくから、慣れたらそのタイミングで動かせばいいわ」

三人との間が、小さく前になれほどしか空いていないため、パドルがぶつからないよう、オイドとチョットは右から、光邦は左から漕ぐことにきめた。

オイドはなるほどと、メモを取る。

チョットも、「こんな方法があったのですね。この船だと楽ですよ」と光邦を仰ぎ見る。

「あんた、すごい宇宙船持ってたのに、こんなもので驚かないでよ。私だって、こんなの初めてやるんだから心配なの。さぁ、行きましょ」

光邦に言われた通りに、パドルを動かす。初めて漕ぐパドルに、水の重みが重なり、前後の非力の二人は苦戦していたが、慣れると思った以上に前進することで、驚きの表情に変わった。

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