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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

工具が無いか、それを確かめに小屋まできた光邦だが、思った以上の収穫があった。

壁に固定された棚を分解し、二枚の板も手に入れた。

「これでイカダが作れるわ。じゃあ、ここから出ましょう」

光邦が扉を開けようとする……がびくともしない。

「あら、おかしいわね。開かないわ」

光邦は力を入れて前後左右に引いてみるが、1ミリも動く気配がない。

「どうして? さっきはスッと開いたじゃない」

横からオイドが、扉を指差し、

「ああ、接着剤の効き目を確かめるために扉に2滴ほどたらしてみた」

「なにしてくれとんねん! バキバキに効き目ありすぎるやないの! 効果が知れてありがたいけど、面倒くさいわ!」

光邦は奥から走って、扉にぶち当たる。

勢いにより木製の扉の蝶番がはずれ、光邦は扉をぶち破って自ら投げ出されていった。


川縁に移動した三人は、さっそく木を切って、材料を集める。

小屋からは、はずれた扉も持ち込んでいた。

オイドは腕組みをし、何度も頭を捻る。

「光邦とやら、あんたはなにをする気だ?
イカダとかいうものを作るというが、それがよくわからないのだが?」

「だったら、私の言う通りに動いてちょうだい。私も、イカダなんて初めて作るんだけど、いい材料が見付かったからなんとかなりそう」

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