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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

光邦は、飛び付くように奪い取った。

「こんないい物があるの!? これがあったら、釘とかロープとかいらないじゃない」

「完全に固まるまでは、30分はかかるが、固まればどんな機械を使おうが引き剥がせない。おそらくこの小屋を建てる時に使ったんだろうな」

「いいわよ、これ持って行きましょう」

「しかし、キダンバといい接着剤といい、お前さん、なにをするつもりだ」

小屋を物色しながら、オイドが尋ねると、光邦は、「イカダよ」と答えた。

「イカダとは?」とチョットが首を傾げる。

「地球にある手作りの船よ」

「船は作ったではありませんか」

「あんなの船じゃないわよ。あれより、もっとしっかりしたやつよ」

「イカダ? しっかりした船?」オイドは想像もつかないようだ。

宇宙船を作る高い文明を持っているわりには、なぜ川や湖を渡る船を知らないのか、逆に矛盾を感じる光邦だった。

チョットも、小屋の中を探す。

ふと、足元がグラつくのを感じて、床を調べる。

すると一枚の板がパカンとはずれ、そこに大きな穴が広がった。

チョットは中を覗きこむ。穴の中にはなにやら固形物かま埋まっていた。

「……これは?」

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