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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

扉を開けると、中には小さな机とロープが切れたハンモック。その上には白骨化した遺体があった。

「え、やだなにこれ? 骨があるじゃない」と光邦は乙女のように、オイドにすがりつく。

「おそらくここで森を管理していた、どの国にも属さない異民だったんだろう。吊り寝網に寝ている時、このロープが切れ、頭から落ちて即死したのだろう。後で土に埋めて葬ってやろう」

「ハンモックを吊り寝網って言うのね」

「それより、ここに来てなにをするつもりだ?」

光邦は、小屋の中を物色しはじめる。

「木を切るようなものはないかしら?」

「なんだ、キダンバを探していたのか」

「ノコギリとは言わないのね」

部屋にはハンモックの他に、木箱や机、スツール、カビの生えたデキャンタが転がっているだけで、たいしたものはない。

「箱の中にキダンバがあったぜ」とオイドが見付けた。

形状はほとんど、地球にあるノコギリとかわらない。

「うん、これ、使えるわ」

「これは、いるか?」

今度は、太いチューブのような物を出した。

「なによ、それ?」

「あんたがなにをするのかわからんが、これは、物と物を接着する、超強力接着剤だ」

「接着剤?」

「完璧にくっつくぞ。この小屋もこの接着剤だけで組まれている」

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