テキストサイズ

え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

光邦は、チョットをエルボーで叩き起こすと、先ほど貰った袋に荷物を詰め、力を入れて口を縛った。

チョットは胸元を押さえながら、

「おはようございます」

「あんた、よくこんな地ベタで熟睡出来るわね。感心するわ」

「疲れてたんですよ。もう出発するんですか?」

「そうらしいわよ」

「しかし、まだトリセンナシ国の国王らしき人物は見付かってませんが」

「放っておきましょうよ。生きてたら生きてたでいいじゃない別に」

「ところで、トリセンナシの勇者が死んだらしいな」二人の話に耳を向けたオイドは、確認として聞いた。

「あれは事故よ、私の目の前で亡くなったわ。はぁぁ、思い出すのは辛い」

「国王は死んで、国は無くなったんだな」

「それなのよ。その国王の姿が見当たらないらしいのよ」

「逃げたのか? 自害することを拒否したんだな」

「そりゃ、死にたくはないわよ。誰だって命は大切だしさ、わざわざ死ななくてもいいじゃない。私はそれでいいと思う。でも、勇者も気の毒よね。あんたは、どうするのよ」

オイドは川を眺める。

「ガシは小さい国だが、俺が勇者になった以上は、守りぬきたい。だが、正直に言えば、殺し合いはしたくないな」

「私を殺そうとしたくせに」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ