
仔犬のすてっぷ
第2章 出会い
「よ、よく見てみ!こんな、髪型で…」
「俺はそんくらいのショートが良い」
「こんなTシャツ、短パンで…」
「ピチピチよりダブダブな格好がそそる」
「こんな、声で…」
「高すぎず低過ぎず。イイ声だが?」
「…どう見たってオトコだろっ!」
「…どう見たらオトコに見えるってんだ!」
だ、ダメだ・・・。
我ながら、これ程自分に相手を納得させる材料が無い事を痛感させられるなんて……。
う、打つ手が、無い・・・。
「俺には判る!さっきのアンタの笑顔!あの、全てを許すと言わんばかりの、アレが全てを語っていた!だから、そんなバレバレな嘘で誤魔化さずに、謝らせてくれ!」
・・・・・・・・・あうっ・・・(汗)
ただの誤魔化しのための笑顔が、そんな重みのあるモノに?(大汗っ)
それに・・・
この人、実はめっちゃ良い奴なのでは?
じゃあ、尚更このまま勘違いさせてちゃいけないよね?
……仕方無い……。
僕はロンTの下をムンズと掴むと
「え?!あ、おい?」
彼の動揺する声を無視し、一気に捲り上げた。
「……分かったかい?僕は、オトコなの!紛れもなく、男なんだよ」
