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🕯️悪夢の神様🕯️

第17章 真実の悪意


それからしばらく…


平穏な日々を過ごしていたある日。



俺は、美希さんに頼まれて帝王ホテルの、おばあ様のお店に花の配達を頼まれた。

バイトも休みだったし、帝王ホテルの噂の親子丼の店を見てみたかったのだ!



「いらっしゃい――――あら、皇輝君じゃない…今日はバイト休み?」


開店前の店にいたのは、着物姿の未來ちゃんのおばあ様。


帝王ホテルの中にあるお店で、入り口には看板はない。


「ここっすかぁ~…俺には敷居が高いっす!」


「フフフ、高級そうに見えるだけよ。出してるのは、家庭で食べられる和食よ?多分…我が家で出てくるメニューが多いかも」


――――マジでか!?


そう考えると、おばあ様のレシピを再現する岳さん…パネェ!


「えっと、預かっていた花ですけど――――月子(つきこ)さんが生けるんですか?」


美希さんに頼まれた花をおばあ様に渡すと、受け取りながら入り口の花台を見る。


「入り口の花を生けるんだけど…。いつもなら、岳君が配達ついでに生けて帰るのだけど…」


困ったわ…と、頬に手をあてて悩む姿に、おばあ様は生け花が苦手なのでは?と、悟った。


「月子さん…生け花苦手っすか?」


恐る恐る聞いてみると、月子さんは頬に手を当てたまま…「実は…」と、可愛くハニカム。



――――お…未來ちゃんほどではないが…可愛い!


将来、未來ちゃんはこんな感じに年を取るのかな?


しかも、苦手と笑う月子さんに俺は何か出来ないかと…花と花台を交互に見た。


「……えっと…、俺でよかったら…生けましょうか?多少…かじってたんで…」



「え!?皇輝君…生けられるの?」



驚いた月子さんに俺は全身を撫でるように見られる。



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