
🕯️悪夢の神様🕯️
第2章 命の恩人!?
変態ゴリマッチョ消防士に連れられ、俺も救急車でバイタルをチェックされたが――――…右目の件以外はどこも問題なかった!
「少年よ――――…君は右目が見えないのかい?」
「あ~…そうっす、ボクシングしてたんで……」
その話をすると、変態ゴリマッチョ消防士は俺の肩を撫でながら「辛かったな」と、慰める――――が、その肩を撫でる触り方に鳥肌が立つ!
外では――――…消防隊の消火活動が続いており…そっちに行けよ!と、肩に置いてある手をつねると「そうだな――――!君たちの財産を守らねば!」と、変態はやっと職務に戻っていった!
俺は、火に包まれる自宅アパートを眺めながら――――…全力疾走をして…良かったと思った。
すでに現場から運び出された、101号室の年配夫婦と201号室のケン君マヤさん親子は助かったのだから。
それにしても――――…
俺は、四人を助けることに夢中で…
自分の貴重品を何一つ持ち出せていないことに気がつく!
「あ――――…俺……やばくねぇか?」
健康保健所…免許証…――――通帳に印鑑…――――爺ちゃんから譲り受けた…業物の花鋏(はなばさみ)が……
燃えて――――…行く…
「おおおおおお…俺の――――生活がぁぁぁ……」
やっと……事の重大さに気かつく!
「変態ゴリマッチョぉぉぉぉ!ちゃんと消火しろよぉぉぉぉ!」
俺の――――失礼極まりない泣き叫びは…
木造40年のボロアパートが崩れる音に……見事に掻き消された…。
鎮火…後…
木造40年の……俺の住んでいたボロアパートは…
真っ黒に焼け落ち――――…跡形もなくなった。
一部始終を見ていた――――…アパートの住人と大家は…各々…持ち出せた貴重品を抱き抱え…消防や警察と話をしているが――――。
何も持ち出せなかった俺は……
――――…無言で天をあおいだ。
