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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第11章 落し物に気づく時


「あっ……あっぶな」

低くて小さな、呟く声が、耳元で聞こえた。
とっさに肩を支えられて、驚いていた。
全てがスローモーションのようになる。
衝撃で閉じた目を、ゆっくりと開けると、目の前には男の子の横顔があった。

顔を見た瞬間に、その澄んだ茶色の瞳と、長いまつ毛に釘付けになる。

……綺麗。

たった一瞬。

その一瞬でも、整った横顔をなんとなく見てはいけなかった気がして目を逸らした。

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