
優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第10章 夏の訪れ
「咲〜! 派手にやってくれたなぁ」
「ごめんごめん。優もずぶ濡れだ」
「誰のせいだよ、ったく〜! こら!」
優が素早く立ち上がると、わたしに水をかける。
「ひぇっ! やめてよ〜!!」
言いつつ笑ってしまう。
「どうせ着替えあるだろ」
わたしも優に向けて、手を大きく動かして水をかけた。
「あっ、こら咲! ……もう手加減なしだぞ」
優は言いながら、水しぶきを避けて笑っていた。今までに無いくらい、無邪気な顔をして。
わたしもそれに負けないくらい大きな声を出して笑う。
