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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ

「咲……!」

優が少し焦った様子で近づいて来る。
腰から下が冷たくて、でも、なんか笑ってしまった。

「大丈夫、思ったより痛くないんだねぇ」

優が手を差し出す。

「あー。これは着替えだなぁ。ほら、掴まって」

優の手に掴まって立ち上がろうとして、腰を浮かしたとき、また砂に足を取られた。
わたしの全体重が優の左手にかかった状態で、バランスを崩す。

そのタイミングを見計らったように、優の膝上まで来た少し大きな波。

「わっ、あっ!!」

「お……?!」

予想外のことに、今度は優もバランスが取れなくなって、2人で大きな水しぶきを上げた。
どうしようもなくなって、状況がわかってから、2人で声を上げて笑う。

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