
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第76章 オープンキャンパス
「ひな、何が不安なんだ?」
「え?」
「今の話、本当は違うだろ。医大に行くのやめようなんて本心じゃない。何が不安でそんなこと言ってるんだ…?」
「ふ、不安とか…そんなんじゃないですよ。本心です。そもそも医者になるなんて、五条先生に言われて成り行きで目指すことになったんですから。自分から医者になりたいと思ったとか、そういうのじゃ、ないんですから…。」
「最初は成り行きでも、今は違うだろ。きっかけなんかなんでもいい。医者になりたいから、ノワール医大に行きたいから、勉強だってよく頑張ってるんだろ?」
「それは…、特に何がしたいとかわたしにはないから。みんながノワール医大行けって言うし、勉強さえして推薦もらえるなら、楽だしそれでいいかなってだけで…」
「なら、どうしてオープンキャンパス行きたいって言ったんだ?ノワール医大のこと真剣に考えてたからじゃなかったのか?今日はみんなひなの体調心配してたのに、どうしても行って見ておきたいって言ったのはなんだったんだ?嘘だったのか?」
「…っ。」
優しく話してくれてた五条先生の語気が少し強くなる。
わたしは一瞬戸惑って、言葉に詰まってしまった。
