
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第76章 オープンキャンパス
『え…?』
「やめるって…どういうことだ?」
「今日医大で会った人たちが、みんなすごく生き生きしてたんです。医者になって病気を治したい、命を救いたいっていう強い志を持ってるのがすごく伝わってきて…、わたしもこんな風になれたらいいなって思いました。でも…」
そんな学生の姿やノワールの入学を夢見て来た同じ高校生の姿を見てると、
そもそもわたしなんかが…病気ばっかりで、心臓まで悪いわたしなんかが…、医者になんてなれるのか、医者を目指していいのか…。
いや…、医者なんて、わたしにはやっぱり無理だ…
そんな気持ちの方が強くなってしまった。
藤堂「でも…?」
「でも…だからか、わたしがこの中に混ざっていいのかなって思って。ほら、わたしは別に医者になりたい!って思ってるわけじゃないので。医大に入ってみんなと肩を並べるのが申し訳ないなって…」
藤堂「ひなちゃん…」
「すみません。応援してもらってたのに。進路のことは、また夏休みが終わるまでに考えます。」
と、メロンパンにかぶりつこうとすると、
「ひな。待て、勝手に話終わらすな。ちょっとこっち向いて。」
って五条先生が。
はぁ…、また"何言ってんだ"とか"そんなこと言うな"とか、いつもみたいに言うんだろうな。
そう思い、メロンパンをお皿に置いて俯いてたら、
「俯かないの。まず顔上げてごらん。」
ぽんぽん…
背中に五条先生の大きな手が触れた。
