
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第127章 懊悩
「……ひな?」
垂れた髪を耳にかけるように頬を包んで、ひなの顔を上げさせて、
「ひなは、本当に医者をやめたいのか?もう一度聞くけど、どうして医者やめたいと思ったんだ?やめたいんじゃなくて、自分には向いてないからやめた方がいいって、そんな風に思ってないか?」
ひなの目を見ながら聞く。
「……向いてないんだから、やめた方がいいんだよ……。」
ゆらっと揺れるひなの瞳。
「すぐに体調崩して、入院して、退院するのにも時間かかって…。何回も何回も、研修医になってまでまだ繰り返して…。こんな病弱な、自分の身体も治せない人間が、医者になるべきじゃない…。」
瞳に迷いを宿しながら。
ひなは言葉を並べるが、やはり煮え切らず、
「ひと言も言わないな。"やめたい"って。取って付けたように理由並べて、やっぱり、医者やめたいわけじゃないんだろ?」
「…だって……」
ひなは目にまた涙を滲ませ、
「やりたくてもできないじゃん…。わたしは医者のはずなのに、今患者なんだよ…。現に医者やれてないの…。病気の人間に医者は無理なの…。グスッ」
と。
