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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第127章 懊悩



「ひなそれは違う。持病を抱える医者は山ほどいるんだ、無理なんかじゃない。ひなと同じ、心疾患でドクターやってる人もいるし、りさ先生が喘息なのはひなも知ってるだろ?りさ先生も、決して軽くない喘息抱えながら医局長やってんだ。身近にもそんな人がいるのに、どうしてひなだけ諦めるんだ…。」



「りさ先生はすごい人じゃん…。でもわたしは違う…。仕事できないし、すぐ倒れるし、迷惑かけるだけで、わたしみたいな医者いない方がマシ…。」



「ひーな。誰もそんなこと言ってないだろ?」



「言わないだけで、みんな内心思ってる…。」



「こら。ひなそれは怒るぞ?ひなに医者やめろなんて言う人いないだろ。むしろ、みんな応援してくれてる。だから、先生方もひなに寄り添ってくれてるし、夏樹と傑だって、ひなの調子どうかって、昨日も心配してくれてたぞ。」



「心配じゃなくてうれしいんだよ。ライバルが減ってうれしいでしょ…。」



「ひ〜な?口から出まかせ言うのやめなさい。」



「…グスッ、グスン」




俺の腕を払って、胸を押し退けて、大粒の涙を落としながら顔を背けるひな。

俺は心の中でひとつ深呼吸をして、




「医者、続けたらいいんだぞ。休み休みだっていい。人と比べず、自分のペースで働けばいいんだ。同期と足並み揃わないと不安になるんだろうが、心配しなくてもひなは良い医者だし、もっと良い医者になれるから。それでもやっぱり辛いなら、ひなが後悔しないなら辞めたらいい。でも、ひなにとってそれが幸せじゃないのなら、俺は、ひなにやりたいこと諦めて欲しくない。」




ぽんぽん…


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