テキストサイズ

ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第127章 懊悩

-五条side-




「どうして、医者やめたいと思った?」




ようやく落ち着いたひなに、まずは尋ねてみる。




「……治らないから。」




つぶやくひな。




「治らないっていうのは、何が治らないから?不整脈は治っただろ?この前の検診も、豪先生問題ないって。」



「不整脈"は"でしょ。他が悪くなった。喘息も貧血もまだ不安って言われて、安静にしてるのになぜかよく熱が出て、ずっと院食なのに便秘になったり下痢になったり、生理もまた止まった…。ひとつ良くなっても、別のどこかが悪くなる。というか最初から悪い。全部、もう治らない…。」



「ひな…。」




うつむくひなの肩をさする。



ひなの言うとおり、ひなの体調は不安定で、退院の許可を出せるほど回復していない。

婦人科にもかかるようになったので、メンタルがやられて余計に調子が戻らないのもわかっている。

それでも、




「治らないことないだろ。ひなこんなに頑張ってるんだから。全部治らないって言うけど、ひなは今まで全部乗り越えてきたんだぞ?だから大丈夫。」




なのに、




「大丈夫じゃない…。」




投げやりに言い捨てる。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ